Life can be so sweet on the sunny side of street. (ひなたの道を歩けば人生は輝くよ)

 5 月となり、新緑と陽ざしがまぶしい道を歩くのが楽しい季節になりました。みなさんはジャズの名曲「On The Sunny Side of The Street」をご存じでしょうか。この歌は、4 月で終了したNHK の朝の連続テレビ小説において、重要なカギとなっていました。聞くところによると、この歌はアメリカ世界大恐慌のままならない時代に生きる人々を「Life can be so sweet on the sunny side of street.(ひなたの道を歩けば人生は輝くよ)」と励ますために作られたそうです。
 ドラマの中でも、主人公達は本人の意思に関係なくままならない時代に翻弄され、暗闇の道を生きることを余儀なくされます。しかし、最終的には自分で決めた自分の道(ひなたの道)を見つけて歩んでいくのです。主人公達が、再び歩き出す原動力となったのは、本人の努力だけではなく、どんな道を歩いていても自分を肯定し支えてくれる周囲の温かい人とのつながりでした。人との関係性によって人が変化し、それぞれの人生が輝き始めたのです。

 私達保健師の仕事では、ドラマよりも多様な人生を送る人達に出会います。もちろん、ままならない状態を生きながらも、自分自身の力で道を切り開いていく人もいるでしょう。しかし、暗闇で声もだせず身動きもできない状態で、やっと私達に出会ったという人達もいるのではないでしょうか。その人達の抱えている問題は大きく、どの問題もドラマのようには簡単には解決しないことばかりです。
 だからこそ、傍らにそっと座り、生き抜いてきた道を否定したり指導したりせずに、人が持っている力を信じながらかかわり続ける「援助関係づくり」が重要なのではないでしょうか。そのような支援の積み重ねが、「悩みは玄関においといて、また歩き出そう」と、自分の決めた自分の道を歩みだす気持ちにつながるのではないでしょうか。結局、人を支え人の行動を変えるのは、温かい人とのつながり、関係性なのではないかとドラマを通じて改めて保健師の支援についても考えました。
 そして、誰もが自分の決めた自分の道を歩きだし、輝く人生を送って欲しいと願っています。

佐藤睦子