18歳の巣立ち

 今年の冬は厳しい寒さが続きましたが、春はすぐそこまで来ています。
 そして、3月4月は卒業、入学、入社と毎年のように別れと新たな出会いが短い間に行われます。不安と期待、希望を胸いっぱい抱えて。
 「社会的養護」「社会的養護のアフターフォロー」という言葉もよく耳にするようになったとは思いますが、今回はそんなひとコマをご紹介します。

 私の所属する児童養護施設でも、高校を卒業し18歳で園を巣立っていきます。
 専門学校に進学し学生寮に引っ越す子、会社に就職し会社の寮に引っ越す子、グループホームでの生活が始まる子など。乳児院から私たちの園に来た子は16年間、高校入学と同時に園に来た子は3年間、それぞれに思い出を抱えて巣立っていきます。

 今まで食事も洗濯も掃除もすべて職員任せ。自立訓練と称して高校3年生になると一定期間練習をしますが、自活のイメージを持つにはまだまだ十分とは言えません。
 金銭管理や行政手続きまでとなると尚更です。自宅生活をする子どもたちは、大人の会話を耳にしながら、自然に学習していくこともあるでしょうが、施設においては手続きなどは事務室での会話が多くなり、子どもたちが自然に耳にする機会は少ないと感じています。
子ども自身も不安になり、卒園後も相談の連絡が入ります。(相談してくれる子は安心ではあるのですが)

 私たち大人は、子どもたちのこれからの生活にエールを送りながらも“困ったらいつでも連絡してきてね“と言葉を添えます。ほとんどの子どもたちが相談できる親との関係を持たないまま卒園していきます。園との関係も切れてしまい、消息の分からない子ども達もいます。

 社会的養護のアフターフォローについて、国の政策も項目立てされるようになってきましたが、まだまだこれからの取り組みというのが現状です。
 園としても、子どもと職員との関係性に頼っているところが大きく、体制整備はこれからです。18歳成人の制度が施行され、益々心配の種が増えました。
 困ったときには助けを求められる子どもたちであってほしいと願います。

 4月からは新しく入園する子どもたちを迎えます。
 みんなが安心して笑顔で生活できますように!!令和4年度がスタートします。

(髙橋ゆきえ)