理事長挨拶
新型コロナウイルス感染症禍において、公衆衛生の最前線で感染者への最大限の配慮と医療のセーフティネットの確保、そして妊婦や保護者の不安に寄り添いながら母子保健や虐待防止対応に尽力されている皆様に、心から敬意を表します。
私たちは、「一般社団法人 保健師による親子ヘルス&サポート推進協会(Family Health Nursing Association)」(通称:親子ヘルサポ)を設立いたしました。
少子超高齢社会の今、家族規模も縮小し、近隣とのコミュニケーションも減る社会環境において、妊娠中からすでに孤立感や、この地での子育てへの期待が持てずにこころ揺らぐ親もいるようです。個別事情をみれば、経済的不安やパートナーとの関係性の悪化など妊娠葛藤を抱えたまま母子健康手帳を持つ勇気がなく悩む妊婦もいます。子どもの安全を守り、豊かに育てることが苦手な親もいます。
支援者として、そのような妊婦や保護者たちの深い苦しみを看取し、養育能力の低い傷つきやすい親たちを全人的に、そして立体的に理解し、こころのドアを開けてくれる姿勢、技術を共有したいと思っています。しかしながら、親子に寄り添い、後悔しない人生のベクトルへと導くお手伝いをしたいと思うとき、わたしたち支援者一人一人の力はあまりにも微力です。
予防的な関わりは、保健や福祉などの行政機関にとどまらず、地域の人々、NPOなど民間の支援者の存在なくして語れず、また、産科、小児科や精神科など複数診療科や保育や教育などとの連携・協働が必要になり、まさに親子を含むチームで紡ぎあげるものです。そしてそれ以前に、まずは私たち保健師が、母子保健、精神保健といった領域別の職務分担に固執せず、対象者である家族に丸ごと関わることが虐待予防にとって不可欠であること、この活動スタイルこそが保健師本来の姿であることをもう一度思い出し、フィールドに立つ覚悟を決めなければなりません。それを持続してこそ、虐待リスクを有する家族(孤立した特定妊婦を含む)と接する機会の多いポジションにいる強みを活かすことになると考えます。
保健部署に限らず、児童福祉部署や児童相談所などへの保健師の配属が進む中、わたしたちは、他職種/他機関との連携や協働に、内側から取り組むと同時に、児童福祉が担うことが難しかった、そして保健の立場だからこそ提案・実行できる家族を見る視点・考え方・予防的対応技術とは何かを、保健の専門家として自らに問い、予防策の実効性を高めていく一員に成熟したいと思います。
生活現場に密着できるという、まさに先達から学び、フィールドで培った粘り強さを引き継ぎ、その原動力となる保健師としての「強さ(勁さ)」と「繊細さ」を活かすために皆様と議論し、学び、実践力につなげていきたいと思います。
皆様には、趣旨に賛同いただき、今後の幅広いご提案やご支援を賜り、ともに活動していきたいと願っております。
よろしくお願いいたします。
一般社団法人親子ヘルス&サポート推進協会 理事長 中板育美
設立趣旨
今、虐待の予防、早期発見に資する母子保健活動に熱い視線が注がれています。
母子保健活動はこれまでの歴史においても乳児死亡、妊産婦死亡等の減少に大きく貢献してきました。そして今、虐待の予防において大きな役割が期待されています。
母子保健に関する活動は全国のさまざまな地域で、地域特性に合わせたさまざまな活動が展開されています。しかしこれらの活動の全体像を把握したり、お互いの活動について情報交換したりする場は十分とはいえない状況にあります。
母子保健活動に対する期待が高まる中でその活動を支える研修や事例検討、研究などがますます必要になってきています。
今回私たちは東日本、西日本のメンバーが一体となり全国の母子保健活動を推進する団体「一般社団法人 保健師による親子ヘルス&サポート推進協会(通称:親子ヘルサポ)」を設立することにいたしました。
この団体では、子どもの健やかな成長と家族のこころの安寧を願う保健師等が、子どもの・家族の生活と権利を擁護し、母子保健及び児童虐待予防・対応力の向上を目指すとともに仲間同士のつながりを築くことを目的とします。
母子保健活動に携わる保健師、また関連する職種、機関の方々と一緒に親子ヘルサポの活動を発展させていきたいと考えております。趣旨にご賛同いただき、幅広い支援を賜りたいと存じます。
法人概要
名称 | 一般社団法人 保健師による親子ヘルス&サポート推進協会(略称:親子ヘルサポ) 英文:Family Health Nursing Association(FHNA) |
設立 | 2021年11月12日 |
事務局 | 東京都練馬区豊玉北5-17-4 oyakohelsapo★gmail.com(★のところに@を入れてください) |
理事長 | 武蔵野大学看護学部 中板育美 |
副理事長 | 四天王寺大学看護学部 上野昌江 |
理事 | かながわ子ども虐待予防研究会 大場エミ |
社会福祉法人幸保園 高橋ゆきえ | |
武蔵野大学看護学部 佐藤睦子 | |
西日本こども研修センターあかし 小林美智子 | |
とよたまこころの診療所 鷲山拓男 | |
監事 | 会計・財務コンサルタント 石見政弘 |
中村善彦法律事務所 中村善彦 |
沿革
令和3(2021)年 | 6月3日 | 発起人会設置 |
11月12日 | 一般社団法人設立 |
定款
以下のリンクよりダウンロードしてください。(PDF形式)